ビジネス小説ザ・ゴールを分析してみる。

最小の努力で最大の成果の本質を示した小説「ザ・ゴール」

ザ・ゴールをビジネス書と見るのか、小説と見るのかは意見が分かれるところかと思いますが、私は小説の一種と考えており、私の考え方に最も影響を与えた小説になります。

この小説から私が受け取ったメッセージは、「最小の努力で最大の成果を挙げるというのはどういうことなのか」ということです。

この話の詳細は以前記事にしました

章立てから見るザ・ゴールの構成

今回は、この小説の構成について分析してみたいと思います。小説としても非常に面白かったので、なぜ面白いと感じたのか、話の流れをまずは章立てから見ていきたいと思います。

Ⅰ突然の閉鎖通告

いきなり、工場が閉鎖の危機にたたされます。わかりやすいツカミであり、「工場を立て直せるか?(それによって主人公の平穏な日々を取り戻せるか)」というセントラルクエスチョンが提示されます。

Ⅱ恩師との邂逅

問題解決のキーマンであるジョナと出会います。ここで絶体絶命かと思われた状況に一筋の光が見えますが、ジョナは忙しく答えを教えてくれるわけではありません。答えはあるけれども、自分で探す必要があります。

Ⅲ亀裂

工場の問題が家庭にも影響し、解決策を模索しながら状況は急速に悪化していきます。この、突破口が見つかるのが先か、破綻するのが先かという焦燥感は非常に惹き込まれます。ちなみに家庭の幸せがサブプロットとして物語を複雑にしています。

Ⅳハイキング

工場を救う答えはボーイスカウトの引率という意外なところで見つかります。このハイキングを成功させるところが大きな転換点になります。

Ⅴハービーを探せ

ハイキングでのボトルネックであったハービーを工場でも探すことで、制約リソースを中心とした生産管理が始まります。状況は大きく改善し始めます。ここがミッドポイントにあたるかと思います。

Ⅵつかの間の祝杯

上手くいったかに見えた生産管理が破綻の兆しを見せます。家庭もほんの些細なアクシデントで奥さんが実家に帰ってしまい、ミッドポイントからセカンドターニングポイントへ向かって真っ逆さまに急落します。

Ⅶ報告書

またも破綻しそうになった前の章を何とか切り抜け、最終章に向けて、この本のテーマが単なる工場の生産管理にとどまらないということを示すための最後の問題提起が行われます。

Ⅷ新たな尺度

制約理論の考え方が整理され、この考え方が、既存の常識とは全く異なるものであることが示されます。当初工場の建て直しというのが目標に思えましたが、最後は経営全般に及ぶ発想の転換というテーマに収束して物語は幕を閉じます。

こうして章立てから構成を見てみると、物語のセオリーにも則っていて、物語としても面白いものになっていると思います。

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