銀河英雄伝説にみるサブプロットとは?ストーリーに深みを与えるもう一つの三幕構成

もう一つの三幕構成「サブプロット」

三幕構成について一通り触れてきましたが、今まで触れてきていなかった話にサブプロットというのがあります。

メインプロットとされる話と平行して進むストーリーラインのことで、サブプロットも三幕構成で作られるようです。

メインプロットと見紛うサブプロットがある「銀河英雄伝説」

映画ではないですが、私が秀逸なサブプロットが含まれていると思う作品は銀河英雄伝説です。銀河英雄伝説は、メインプロットがラインハルトの物語ですが、ほとんどメインプロットと見紛うほどの重さとボリュームを持つサブプロットとしてヤン・ウェンリーの物語があります。

そしてこのサブプロットはメインプロットに多大な影響を与え、渾然一体となって物語を作り上げています。「銀河英雄伝説」というタイトルなんだから、ヤン・ウェンリーの物語もメインプロットでダブルメインプロットの小説なんじゃないかという話もありますし、この構成の考え方は必ずこれというものがあるわけでもないので、作者の田中芳樹先生はダブルメインプロットのように考えているかもしれません。

ただ、メインはあくまで一つと考えたときに、どちらがメインかといえば間違いなくラインハルトの方になります。なぜならヤン・ウェンリーは物語の途中から登場します。サブプロットはメインプロットと勘違いされないように、メインプロットが始まってからしばらくして始まるというのがセオリーです。また、ネタバレですが、ヤン・ウェンリーは善戦むなしく途中で殺されてしまいます。

主人公のような敵役ヤンウェンリー

私はラインハルトよりヤン・ウェンリーのほうが好きですが、こんな風に、この話を読んだ人の間で人気を二分するほどの存在感を放ち、腐敗した民主制の中で、数々の制約を受けつつ最善を尽くす名将が圧倒的な才能を遺憾なく発揮できる独裁君主のラインハルトを押さえ込もうとするという構図は物語を非常に面白くしています。

結局、ヤン・ウェンリーは最後までラインハルトに正面から敗北することはなく、ラインハルトをあと一歩のところまで追い詰めたあと、暗殺のような形で殺されました。敵役でありながら、主人公よりも主人公らしい逆境にさらされ最後に死んでしまうのは、この物語が今でも漫画化やゲーム化される一つの要因となっているのではないでしょうか。

 

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