ザ・ゴール第三章を分析。問題の共有とジョナとの対話、家族の亀裂

ザ・ゴール第三章は問題の更なる分析

ザ・ゴール第三章では、問題を解決するためにジョナと言葉を交わし、解決の糸口をより明確にするステップです。主人公は、ジョナを探すため徹夜で電話をかけて、何とかジョナから情報を引き出します。

物語中のジョナは、基本的に自分で気付くのは不自然な時に現れ、最低限の情報のみを主人公に与えて去っていきます。これによって、主人公自体に考えさせるという演出ですが、主人公が自分の力で困難を乗り越えないと物語として成立しない上に、読者としても答えがすぐにわかってしまうと面白くないということもあって、このような演出になっているようです。

今後の主力メンバーとの問題共有

ジョナとの電話での会話のあと、今後の物語の主力メンバーと問題を共有します。これによって、主人公は問題解決を単独で行っていた状態から、チームで行うステップに移行し、問題の解決はまだまだ先が見えないものの、問題解決の力が成長していきます。

一方でサブプロットの家族はさらに状況悪化

平行して、家族、特に奥さんとの関係は日に日に悪化し、ついに軽い家出にまで発展します。この時点では崩壊寸前といったところで、一旦状況が落ち着きますが、今後も工場立て直しのために奔走することは確実であり、いずれ崩壊するのではないかと読者に危機感を抱かせます。

お互いにお互いのことがよくわかっていないがゆえのすれ違いは恋愛をテーマにしたやり取りでは常套手段ですが、ここでも仕事が危機的状況であることを奥さんが理解できず、主人公は説明する暇もおしい状態のため、すれ違いが拡大していきます。

制約理論の説明としては骨子を伝える重要パート

物語の進展としては、相変わらず問題解決までの道筋は見えてきませんし、過程も悪化の一途で、大きなものではありませんが、ザ・ゴールで伝えたい制約理論の重要な要素である、スループット、在庫、作業経費という3つの評価指標と、従属関係と統計的変動の組み合わせについて初めて言及されます。

この本を始めて読んだ時は会計士ではありませんでしたが、会計士になった今は、このスループット、在庫、作業経費という考え方は会計の弱点をよく見ている指標だと思います。いまや会計は複雑な事象を表現しようとしすぎて、見積もりの要素が非常に多くなっていますが、この指標はそういった要素をできるだけ廃し、単純で誤解の無いものにしようとして作られたもののようです。

第三章は、この重要な話をするにあたって、できるだけ物語っぽくするために、ジョナを2度登場させたり、家庭を危うい状況にしたりしている印象があります。

 

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