ザ・ゴール第四章を分析。生産工程をハイキングに例えるファーストターニングポイント

物語のファースト・ターニングポイント

ザ・ゴールの第四章は、週末に息子のボーイスカウトの引率をさせられるところから始まります。一見何の関係もないハイキングですが、この物語の核心である制約理論を概念的に学ぶのにハイキングの例えが非常にわかりやすいため、多少強引な展開ですが主人公は唯一の大人としてハイキングの指揮を執ることになります。

物語上の位置づけとしては、第一幕の終了間際のファースト・ターニングポイントに位置すると思います。

行進スピードは全体の平均スピードではないことに気付く

ハイキングを通して、メンバー全員の行進のスピードを決定しているのは、足がもっとも遅いメンバーであるハービーであることに気付きます。

こう書くと、当たり前に見えますが、普段の生活でも、例に沿って考えるとメンバー全員の平均スピードが行進のスピードだと思っているケースは非常に多いと思います。例えば人事評価制度です。その人の成績は前工程の成績に依存しているにもかかわらず、前工程の成績は無視して良し悪しを見ようとするのは、ありがちな話だと思います。

例えの中での解決方法の発見

ハイキングの中で、全体の行進スピードを早める方法を発見し、無事にハイキングを終ることで、工場の生産性を上げる解決の糸口のようなものを発見します。

このターニングポイントを通過したことで、主人公の頭の中は「コスト・ワールド」の世界観から「スループット・ワールド」の世界観に大きく転換します。ものの見え方が変わり、優先順位や評価尺度が正しい方向に大きく変わります。

それは、「コスト・ワールド」に囚われた上司のビルやライバルのヒルトンとの戦いの幕開けであり、第一幕から第二幕への転換でもあります。

サブプロットの家庭はついに崩壊

メインプロットのほうでは希望の光がかすかに見え始めましたが、家庭のほうは奥さんが耐えられずについに出て行ってしまいます。

始めてこの物語を読んだ時は、旦那さんが休みの日に息子のボーイスカウトに付き合ってくれるなんて面倒見がいいお父さんなのに、出て行くなんて意味不明でした。ただ物語上はここで家庭を危機に陥れることで、読者を物語から目を離さないようにしておく効果があります。

実際子持ちのお父さんになった今では、奥さんが出て行く気持ちもなんとなくわかります。お母さんって、がんばっててもなかなか評価も感謝もしてもらえないんですよね。

旦那さんがわがままを聞いてくれるって評価であり感謝の気持ちの表れなので、何度となく約束が反故にされると、例え理不尽だとしても衝動的な行動に出てしまうことは無くはない話だと思います。

 

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