暗黒女子のストーリー・構成を分析【ネタバレ注意】

不思議な構成の物語「暗黒女子」

暗黒女子という、物語そのものとは別のことで有名になった小説を読んでみました。亡くなったサークルの前会長である白石いつみについて、5人の女子高校生が自作小説の朗読会で小説を通して互いを犯人と主張しあうという設定で、淡々と進むミステリーです。

【以下ネタバレ注意】

舞台装置としての闇鍋

物語は、1学期末の定例朗読会という設定ですが、なぜか闇鍋をしながらです。超お嬢様高校の朗読会で闇鍋って違和感があります。小説の中で著者は必死に普通のこと、必要なことと刷り込もうとしていますが、やはり不自然です。

物語の設定上、どうしても闇鍋が必要だった理由は最後にわかりますが、途中から人肉(白石いつみ)を食べさせたかったからだろうなというのは薄々気がつきます。

白石いつみは死んでいなかった

澄川小百合を除くサークルの5人が自作の小説を朗読する中で、互いに別の人間が犯人と主張します。そうなってくると、物語の展開から5人全員なのか、5人以外の誰かなのか、5人のうち誰か一人が犯人ということはなさそうでした。実際は、白石いつみの策略で5人全員が白石いつみを殺したと思い込まされ、実は死んでいなかったという物語の流れです。

白石いつみは5人の弱みを握り意のままに操っていたのですが、5人の密告により父親に不倫がばれ、妊娠していたのを中絶させられます。

しかし後に澄川小百合により殺される

白石いつみは朗読会の直前まで生きていましたが、最後の最後で最も信頼していた現会長の澄川小百合の裏切りにより殺されます。平凡な幸せに満足しようとした白石いつみを許せなかったから、自らが主役になりたかったからというのが動機です。

最後に二度どんでん返しを起こす物語構成

物語の構成としては、5人の自作小説の朗読が終わるまでで、真相についての伏線が張られます。全員の小説に嘘が混じっていますが、真実の部分もあります。そして白石いつみの小説を澄川小百合が代読する章で、全ての伏線が回収され、一旦真相が明らかにされます。

しかし、生きているはずの白石いつみは現れず、その謎が解き明かされる第三幕が最終章の澄川小百合の「閉会のごあいさつ」になります。

このような、最後に何度かどんでん返しが起こる物語は増えてきている気がします。

 

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