小説の最初の2、3行目第4弾。金融小説とミステリー。カタカナタイトルつながり

今回の作品は「マネーロンダリング」と「インシテミル」

小説の最初の2、3行目を読むことで、本物の作家のレトリックに学ぶシリーズ第4弾は、家にあった文庫本から、マネーロンダリングインシテミルを引っ張り出してきました。

マネーロンダリングの最初の三行

マネーロンダリングはその名の通り、資金洗浄の話です。この橘玲先生は、「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」という2002年に出版された本で一躍有名になった人で、合法的に脱税(節税?)をする方法を指南した内容でした。この本も読みましたが、そこまでやるかという内容で、海外に口座を開く時点でかなりハードルが高く、資産といえるほどのお金もなかったので当時は全く参考になりませんでした。

今なら、多少役に立つかもしれません。というタイミングで2015年に制度改正対応版が出ているので商売上手です。そんな人が書いた本なので、かなり詳細に資金洗浄の方法が記載されていたと記憶しています。もう10年以上前に読んだので内容はあまり覚えていません。香港旅行に行くときに持って行って、ちょうど香港を舞台にした話だったのは覚えています。

 

二〇〇一年夏、香港。
ヴィクトリア湾に沿って香港島を東西に走る地下鉄・港島線(アイランドライン)を中環(セントラル)駅で降り、皇后像廣場(スタチュー・スクエア)に通じる狭い階段を上ると、排気ガスと粉塵の混じった海風が吹きつけてくる。

場所と時期の説明始まりです。硬派な内容で実際の場所を舞台にした小説はやはりこんな感じのいつ・どこでを最初に説明した始まりが多い気がします。硬いシリアスな印象を与えます。ちなみに括弧書きは実際はふりがなですが、技術がなくて括弧書きにさせていただきました。

インシテミルの最初の三行

単行本は2007年8月に出版されていますが、ライアーゲームが2005年に発表され、嘘喰いは2006年開始、といった突然命を賭けたオリジナルゲームに放り込まれるという話が一世を風靡した時期に出版された、それ系の小説です。映画にもなっています。そう考えると源流とも思われるカイジとなるとさらに10年ほど前から始まっているのでカイジのすごさがわかります。内容は非常に面白く、一気に読んだ記憶があります。

 

Day-30
モニターの一人は、雑誌の隅に求人を見つけた。
常識外の条件を読んで、その人物は、募集自体が何かのミスだと考えた。
しかし数日後、ふと思いつく。もしもミスでないとしたら。

Day-30というのはゲーム開始の30日前という意味のようです。第一章はDay1というタイトルです。序章(Day before)として、ゲームに参加する人間それぞれの参加のきっかけとなる描写があります。誰がどの描写に当てはまるのかは書いていません。適度に情報を制限しつつ、想像を掻き立てる始まり方だと思います。

今回は誰もが知るわけではない小説2冊

今回は、私は読んで面白かったですし、本屋でも手に入れやすい作品ですが、今まで紹介した本よりやや知名度が低くなる作品を選んでみました。

一つは硬派な金融小説、もう一つはエンターテイメント性が高い理不尽なゲームミステリー小説。こうしてみると、始まり方は様々なパターンがあり、どれも気合を感じると思います。

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