新海誠監督の彼女と彼女の猫を見て。テレビ版と原作の比較【ネタバレ注意】

新海誠監督の「彼女と彼女の猫」

今日、dTVでテレビ版の「彼女と彼女の猫」を見ました。「君の名は。」で知らない人はいないぐらい有名になった新海誠監督が1999年に製作したアニメが原作になっている物語です。

テレビ版を見ているときは、今でも1999年制作の原作アニメをYoutubeで見ることができるというのを知りませんでしたが、この記事を書くためにネットで検索をかけたら出てきたので見てみました。

テレビ版と原作は背景が全く違う

テレビ版と原作を両方見ましたが、両者は設定が全く違う物語でした。まず、主人公の猫ですが、テレビ版は老猫であるのに対し、原作は若い猫です。また、彼女はテレビ版は就活中の女の子であるのに対し、原作はすでに働いているOLのようです。

出会いも、テレビ版は彼女の母親が、彼女が小学生の頃に拾ってきた猫という設定ですが、原作は彼女自身があるとき拾ってきた猫のようです。

ただ、テレビ版では、物語の最後に彼女が老猫のダルが亡くなった後、別の白い猫を拾うシーンがあります。おそらく、このシーンが原作のアニメの物語に続くという演出なんだろうと思います。

共通するテーマは日常にある幸せや苦しみ

テレビ版と原作は設定が全く異なるため、物語自体も全然違います。テレビ版の彼女は就活が上手くいかず、親友の結婚式への出席も断り、独り苦しんでいますが、老猫のダルは何もしてやれません。老猫のダルは物語の最後に老衰で死んでしまいますが、その少し前、彼女の母親に電話を架けることで母親を呼び出し、苦しんでいる彼女を和ませます。

原作のほうでは、彼女が失恋したようで(物語の最後に長かった髪がショートカットになった絵が出てくる)、泣き崩れる彼女に猫は何もしてやれません。原作では猫は若く、猫の彼女もいて、猫の彼女の求婚を適当にはぐらかしつつ、適当に付き合っているようです。この描写が人間の彼女の元カレと重なるという演出なのかもしれません。

両者に共通するのは、猫から見た若い女性の日常にある悩みや苦しみ、わかっているけど何もしてあげられないもどかしさのようなものです。

新海誠監督の作品では、秒速5センチメートルを見たことがありますが、日常の中にある切なさや苦しさのようなものをテーマにしているように感じます。料理に例えると、イタリアンや中華、懐石といった料理ではなく、非常においしいご飯と味噌汁のような作品だと思います。

 

 

 

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