光栄が製作したファンタジーゲーム
1991年に光栄(現・コーエーテクモゲームス)から発売されたファンタジーゲームでロイヤルブラッドというゲームがあります。
ファンタジーを題材にしたシミュレーションゲームとしては、1988年発売の半熟英雄やキングオブキングスといったゲームが元祖、もっと言えば1985年発売のボコスカウォーズが一番早いファンタジーを題材としたシミュレーションゲームになりますが、ロイヤルブラッドは王家の統治が崩壊して新たな王が誕生するまでの歴史物語のような背景がしっかり作りこまれた点が秀逸でした。
様々なモンスターや傭兵、魔術師達
このゲームは、当時の光栄が採用していたシミュレーションゲームの基本ルールである内政で国を強くして、戦争で領土を広げるという形式はそのままに、第5部隊としてファンタジー世界でメジャーなモンスターや、王冠の宝石に封じられていた6人の魔術師、同じく王冠に封じられていたドラゴン、そのドラゴンを封じるために神から使わされた水竜などを利用できる点が非常に面白かったです。
モンスターや魔術師以外にも中世ヨーロッパの時代設定をベースにしたハイランダースのような傭兵部隊も第5部隊として選択可能で、第5部隊を強力な部隊にすることで戦局が左右されていた覚えがあります。
物語の細部が作りこまれないのは残念
シミュレーションゲームの残念な点として、ストーリーを作るのが専門ではないため、そこまで詳細に作りこまれておらず、各キャラクターにあまり感情移入できません。
これが、信長の野望や三国志のような歴史を題材にしたものであれば、ゲーム製作者が細部を作りこまずとも歴史上のエピソードとして細部が作りこまれているのですが、その感覚で見ると、それぞれのキャラクターの設定が非常に浅く見えてしまいます。
決まっていない物語が決まっていくゲームの特徴
このようなシミュレーションゲームでは、一応既定の物語があり、王家から富を奪われた武官の名門と文官の名門がそれぞれ覇権を争い、互いの力が拮抗して王家を凌駕するところまでを4つのシナリオでプレイできます。最終的には、武官と文官のどちらかが王国を再統一するというのが既定路線です。
ちなみに私は、シナリオ1でまだまだ王家の力が圧倒的な頃に端っこの島の領主から始めるのが好きでした。信長の野望も端の島津家から始めるのが好きです。
島国の領主は、3つ目のシナリオで文官勢力に駆逐されていなくなっていますが、島国の領主が天下統一を果たすこともできるわけで、その過程がプレイヤーの脳内で物語になります。
ゲームのプレイごとに毎回物語が生まれる、自由度の高いシミュレーションゲームの原型を作った光栄は今振り返るとすごいと思います。