誤誘導による意外性の創出

意図的に誤誘導することで意外性を出すことができる

誤誘導する事で意外性を創出する作品として私の中で印象が残っているのは映画版の黄泉がえりです。

黄泉がえりはタイトルからも想像できますが、死んだ人が生き返ると言う話で、CMでは、ヒロインの橘葵(竹内結子)が婚約者に会いたいと叫んでいるシーンが印象的でした。

このCMを見ることで、視聴者は「ああ、この女の人が婚約者を蘇らせようと奮闘する話か」と思ったはずです。

ここからは黄泉がえりのネタバレが入ります。

結果的に婚約者が蘇るのか、蘇った後どうなるのかといったところはCMからはわかりませんが、少なくともこの女の人が婚約者を蘇らせようとする話と言うところは間違いないはずだと錯覚します。

映画の中でも、この錯覚は上手く利用され、橘葵は主人公の川田平太(草彅剛)の幼馴染として、婚約者を生き返らせようとします。

ここで、不思議なことに他の人が生き返って欲しいと願っている人は生き返るのに、橘葵が生き返って欲しいと願う婚約者だけは、なぜか生き返りません。

物語の終盤で、その謎が明かされます。もちろん途中で伏線がありますが、すぐにはわからないようになっています。

誤誘導による意外性の弱点

誤誘導による意外性には弱点があります。

この映画もそうですが、CMを見て誤誘導された結果、「大体話の内容はわかるな」と思ってしまい見る気をなくしてしまう可能性がある点です。実は、そのありきたりな内容は誤誘導なのですが、それをばらしてしまうと誤誘導の意味が無くなってしまうため、あくまでありきたりなフリをしておく必要があります。

そのため、誤誘導以外の別の意外性を組み合わせて興味を惹きつける必要があります。黄泉がえりの場合も、何故人が生き返るのかという点が気になる事で見てみたいと言う気持ちを引き出しています。

小説ならではの誤誘導

葉桜の季節に君を想うということ」という小説があります。この小説は、映像だとすぐにばれてしまう誤誘導による意外性が含まれています。

この小説の根幹にかかわる話なので、あえてネタバレはしませんが、調べればどういう意外性なのかすぐにわかると思います。

小説は、読者が頭の中で様子を想像するという漫画や映画のような表現方法にはない独自の特徴があります。このため、誤誘導による意外性を創出しやすくなりますが、あまりに露骨に見えていないのをいいことに無茶な描写をやると読者が興ざめしてしまうため、取り扱いには注意が必要です。

 

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