危機を機転で切り抜ける物語

賭博漫画に君臨する福本信行先生の作品

賭博漫画ってそもそもこういうものなのか?と思ってしまいますが、賭博漫画と言えばアカギカイジがまずは思い浮かんでしまいます。

賭博漫画には、物語に多い恋愛や成長をテーマとするエピソードはほとんど見受けられません。

福本信行先生の漫画は、ただひたすら死を目前に感じるがゆえに生を強く感じることができるという話です。

主人公はどういう人物であれ、死ぬぎりぎりまで追い詰められ、いつ死んでもおかしくない状況を機転により切り抜け、かろうじて生を勝ち取るという話が多いです。

主人公が最強のアカギ

代表的なアカギは、アカギ自身が天才で最強の賭博師です。もともと最強の賭博師のため、挫折から成長するといった成長の要素はありません。

ただひたすら、狂気の沙汰としか思えない危険な状況に自分を追い込み、大半の凡人が歩むことができない唯一の生還の道を見出すというストーリーが魅力です。

主人公は弱いが火事場の馬鹿力で切り抜けるカイジ

もう一つの代表作のカイジは、アカギとは異なり、ダメな主人公で、アカギのように計算で自ら窮地に追い込んでいるわけではなく、ダメであるがゆえに窮地に陥ってしまいます。

しかし、そこは主人公、あっさりやられてしまうことはなく土壇場で切り抜ける道を見出してかろうじて生き残ります。

この場合も、人としてダメな部分は克服されることはなく、人間として成長する描写はありません。

強いて言えば所持金が増えることが成長する要素と言えなくもないですが、すぐに所持金は奪われたりかけに負けたりして無くなってしまいます。

この点、アカギも莫大な金額を稼ぎますが、あっという間に使ってしまうため、所持金の増加もあまり成長とは関係ありません。

あえて成長させないことで何度でも窮地に陥る

この系統の物語の中心は勝負です。圧倒的不利な状況を生み出すには、成長させる必要はありません。むしろ成長すると成長して強くなった描写も必要になってくるため窮地に陥らせるのが難しくなります。

アカギにいたっては主人公が最強の賭博師であるため、アカギを凌駕する強力な敵を準備するのも一苦労です。その中でアカギが更なる成長を遂げてしまうと、ドラゴンボールよろしく強さのインフレが始まってしまいます(別に始まってもいいのでしょうが)。

純粋に勝負に徹する物語は勝負の内容、駆け引きその部分に特化した一つの類型だと思います。

 

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