銀河英雄伝説に流れる一つのテーマ。サブプロットとはまた別の背景

銀河英雄伝説の動画を見て思ったこと

MADといわれる動画があります。MADとは、英語で「狂っている、ばかげている」という意味の、madです。

動画では、個人が既存のアニメや音楽を素材に編集しなおしているものをいいます。

今回見た動画は、そういったMAD動画の一種で、ガンダムUCの音楽をバックに、銀河英雄伝説のアニメのセリフと映像を再編集したものでした。

銀河英雄伝説のアニメは大学時代に一通り見たので非常に懐かしかったです。僅か5分足らずの動画に銀河英雄伝説の名ゼリフがこれでもかと入っていて、しかもガンダムUCの音楽が非常によくマッチしていていい動画だと思いました。

作成されたのは2011年なので、知っている人は知っている動画だと思います。

銀河英雄伝説に掲げられている大きなテーマ

銀河英雄伝説は、よく歴史の名シーンのパクリのような戦いが出てきたりします。作者の田中芳樹先生は歴史にも詳しく、歴史モノの小説も書いています。

その一環なのかもしれませんが、動画を見ていて思い出したのが、銀河英雄伝説は「優れた独裁制」vs「腐敗した民主制」の戦いという一面もあるということでした。

銀河英雄伝説は人物としてのラインハルトvsヤンの戦いであると同時に、銀河帝国vs自由惑星同盟という国家間の戦いであり、それはそのまま独裁制vs民主制という政治体制の戦いでもあります。

ヤンはどんなに腐敗したとしても独裁制よりは民主制のほうがいいと信じていますが、天才ラインハルトを凌駕する軍才を持っているにもかかわらず、その民主制によって何度となく邪魔をされ、力を制限される中での戦いを強いられます。

しかし、だからこそヤンの民主制のほうが独裁制よりもいいという主張が本気であることが伝わってきます。決して民主制のせいにはせず、淡々と不利な状況を覆し続ける姿にある種の信念を感じさせる上手い描写だと思います。

結局のところどちらがいいのかはわからない

とはいえ、銀河英雄伝説の中で、主人公はラインハルトであり、勝者は銀河帝国=優れた独裁制ということで話は終わります。ただし、民主制が完全に消滅するわけではなく、イゼルローン要塞という人工の星の中で細々と存続することになります。

だから作者は独裁制の方がいいと主張しているのかというとそういうわけではないと思います。この物語の中では「優れた」独裁制だったから銀河帝国が勝ったのであり、「腐敗した」民主制だったから自由惑星同盟は敗北しました。

つまり、民主制側の勢力の方が悪役だったというだけであり、民主制そのものが悪いという話ではありませんでした。

銀河英雄伝説は、一般的には独裁国家の方が悪役で民主国家のほうが善玉という中、立場を逆転させることでも独自性を出している物語だったと思います。

 

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