物語のリアリティ。リスクとリターンの関係

人の役に立つと人に迷惑をかけないの違い

人の役に立ちたいというのと、人に迷惑をかけたくないというのは、一見すると似たようなことを言っているように聞こえますが、それぞれの取るべき行動は全く異なります。

まず、人の役に立ちたいのであれば、人に迷惑をかけることを恐れず積極的に人に働きかけなければなりません。これは、企業活動が一番典型的ですが、例えば車という人類の行動を一変させるほど人の役に立つ道具を開発した人は、同時に非力な老人でも簡単に人を殺せてしまう道具を生み出したことになります。

裏を返せば、人に迷惑をかけたくなければできるだけ人にかかわらずひっそりと生活することで、人に迷惑をかけずに過ごすことができます。人に迷惑をかけたくなければ、人の役に立ちたいのとは全く逆の行動を取らなければなりません。

これは、リスクとリターンの関係で、人に感謝されるというリターンを得るためには人に批難されるというリスクを負う必要があり、人の役に立つという行動が人に感謝されるリターンを得にいっているため、ハイリスクハイリターンであり、人に迷惑をかけないというのは、人に批難されるリスクを最小化させるため積極的に人とかかわらないというローリスクローリターンであるということです。

リスクとリターンの関係を正しく捉える事でリアリティを出す

このため、よくリスクを低減してという話がでますが、リスクのみを低減することはできず、同時にリターンも低減されています。リスク低減の話は、セキュリティやコンプライアンスのような文脈でよくでてきますが、この場合、どんなリターンが減少しているかというと、内部の事務手続きが煩雑になり、迅速なアクションが取れなくなることにより、機会損失を生む可能性が増しています。

この、リスクとリターンは必ず対応しており、リスクだけが無くなったり、リターンだけが増えたりすることは無いという原則を認識しておくと、物語を作るうえで、「ピンチかと思ったら実はチャンス」とか「チャンスかと思ったら実はピンチ」みたいなシチュエーションを上手く作ることができるようになるのではないかと思います。

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