クライマックスに向けて主人公を絶体絶命に。セカンドターニングポイント

途中から見ても展開が大体わかる池井戸小説のドラマ

陸王を奥さんが見ていたので、途中から見始めました。池井戸小説のドラマは大体展開が同じようで、下町ロケットを読んでいたからか最初のほうを見ていなくても大体展開がわかりました。

大体展開はわかるのに面白い。水戸黄門のようですが、鉄板の物語展開というのは確かにあって、先が予想できたとしてもその過程で強大な敵を打ち負かす様子を見たいというのが池井戸小説の醍醐味です。

前回は、足袋屋のこはぜ屋が開発したランニングシューズ「陸王」を構成する素材が上の部分は今まで提携していたベンチャー企業が敵対するグローバル企業アトランティスに懐柔されることで素材供給を絶たれました。また、靴底の部分の素材は工場にあった靴底の素材を作れる機械が火災事故で再起不能になってしまいました。

上の部分の素材については、代わりの織物屋を探すしかなく、靴底の部分の素材は機械の修理に1億円が必要で、とても自力で調達できる額ではなく、銀行から借りようにもリスクが大きすぎて貸してもらえません。

クライマックスに向けてのセカンドターニングポイントでは徹底的にピンチに

このように、どう考えても突破口がなさそうな絶体絶命のピンチに陥るのは、三幕構成でいうセカンドターニングポイントです。セカンドターニングポイントは二幕目の最終盤に位置し、三幕目のクライマックスに向けて、ピンチであればあるほど、危機を脱した時にギャップが生まれ、受け手に快感を与えることができます。

難しいのは、主人公を徹底的にピンチにするといっても作者が解決策も思いつかないようなピンチに陥れてしまってはそこから解決策を見出せなくなってしまうため、物語として成立しません。逆に、誰でも簡単に解決策を思いつくようなピンチに陥れても、受け手は拍子抜けしてしまいますし、クライマックスでの快感も得られません。

また、「今までそんなこと一言も言ってなかったじゃん!」と突っ込みたくなるような唐突な解決策が降って沸いたようにでてきても納得感がありません。バレないように伏線を仕込み、上手いことクライマックスにその伏線をつなげることができれば一番いいのではないかと思います。

陸王では当然、驚くべき解決策が用意されていると思います。

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