マネジメントとは何か
マネジメントというと、もしドラで再度注目され始めたピーター・ドラッガー氏を思い出しますが、今回は私が大好きなビジネス小説ザ・ゴールから考えるマネジメントについてです。
ザ・ゴールの著者エリヤフ・ゴールドラット氏が唱える制約理論では、マネジメントとは「制約リソース(生産能力の限界まで生産する必要がある経営資源)に最大のパフォーマンスを発揮させるためにあらゆる手を尽くすこと」と言うことができます。
なぜなら、そのフロー全体のアウトプットの量(仕事の成果)を決めているのが制約リソースであり、制約リソース以外のリソースをいくらコントロールしてもアウトプットの量は変わらないからです。
マネージャーという仕事
よく、「部下に仕事を渡せない」と言うことが問題になることがあります。自分で抱え込んでしまい、いっぱいいっぱいになっているのに、部下に任せることができず全体のパフォーマンスが落ちてしまうという話です。
この場合、いっぱいいっぱいになっている人が制約リソースになっているにもかかわらず、仕事を別の人に渡せないためアウトプットが増やせなくなっていると言えます。
では、どんなときも例外なく「部下に仕事を渡せない」ことが問題でしょうか。私はそうは思いません。自分が制約リソースになっているときに仕事を部下に任せられないことは問題になりますが、部下が制約リソースになっているときにはむしろ積極的に部下から仕事を引き取らなければなりません。
つまり、どこが制約リソースかによって問題は変わると言うことです。
少子高齢化時代のマネジメント
今もし、「仕事を部下に任せられれば任せられるほど有能な上司だ」と思っている人がいれば、今後は状況が変わってくるかもしれません。部下に任せることが有能な上司であるのは、組織がきれいにピラミッド構造になっており、上司ほど制約リソースになりやすい状況の場合です。
これが逆に、部下のほうが上司より少ない組織になってくると事情は一変します。近年、長引く不況により、新規採用を絞ってきた組織がピラミッド体型を保てず、むしろ逆三角形で下の人間ほど少ない組織が多くなっているように思います。
そして、今後少子高齢化も重なり、一人のマネージャーに対し部下は0.5人(二人で一人の部下をシェア)みたいな状況が日常的になってくると思います。
部下が制約リソースになった組織で、どんどん部下に仕事を任せて、自分は別の仕事を取ってくる。新たにとってきた仕事も同じ部下に任せる。
別のマネージャーも同じ部下に仕事を任せる、ということを繰り返したとき、その組織が最大のパフォーマンスを挙げられる組織として機能するのか疑問に思います。
全ては場合により、どんなときでも上手くいく方法は存在しないというのは、投資の世界に聖杯は存在しないという話に通じるものがあります。