時系列どおりに並べない物語。逆から、ランダムで読者を不思議な感覚にする。

時系列を逆に進む物語

物語というのは、基本的に時系列どおりに並んでいるものですが、そのルールをあえて逸脱することにより、他の物語と差別化を図る物語があります。時系列を逆に進むメメントという映画は、普通に時系列順に並べると普通の話なんですが、逆に進むことによって、主人公の10分しか記憶をもてないという状況を読者も追体験することができます。

そういう設定は非常に特徴的で面白いですが、一般的にならないのは、主人公が記憶を10分しか保てないなど、通常とは異なる状況にする必要があるため、なかなか扱いが難しいためだと思います。

時系列がランダムな物語

時系列がランダムな物語として、私の中で一番メジャーな物語はファイブスター物語です。ファイブスター物語は漫画ですが、巻末に年表があり、年表を見れば時系列で何が起こったのかは確認できます。なので物語の全貌は、細かな描写はわからないですがプロットのようなものは読者はわかるようになっています。

読者は、物語のオチを楽しむのではなく、最後にどうなるかは知っているものの、各時代に起こっている出来事を漫画で読むことにより、神の視点から物語を見ているような形になります。

というのも、ファイブスター物語の主人公は神であり、神が現実世界に降臨して世界を統治するというような話であるため、主人公の視点からの物語という演出なのだと思います。神は時系列を無視して自由に時間を移動できるということなのでしょう。

全ての筋書きが最初から決まっていないと使えない手法

こういった手法は使うだけで差別化が図れるため、魅力的な手法だと思いますが、この手法があまり用いられないのは、まず、物語の最初から最後までを先に決めないといけないという点が難しいのだと思います。映画は大体最初から最後までストーリーが決まった上で撮影を始めるのでしょうが、漫画は続きを人気が出れば考えるようなところがあるため、ファイブスター物語のような物語の創り方は難しいと思います。

また、普通は物語のオチがどうなるのかという点が重要なポイントになるため、オチが最初からわかってしまうこの手法は、やはりイレギュラーな手法で、なかなかメジャーにはならないのだろうと思います。

部分的に利用するということもできそうなので、物語の一手法として理解しておきたい話ではあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です