ザ・ゴール第五章を分析。第二幕の幕開け、改善する生産性と夫婦仲

ついに工場の生産性が改善し始める第五章

ザ・ゴール第五章では、当初の目的だった工場の問題が解決に向かい始めます。ハイキングで一番歩くのが遅かったハービーに当たる工場の機械が特定され、その機械を休ませないことが工場全体の生産性を決定するということがわかってきます。

ここでも、常識に囚われた主人公達が解決できない問題に対して、ジョナの登場によって常識の壁を越えて行きます。ジョナは、我々が常識だと普段思っていることと全く異なる発想が必要な時に登場するキャラクターです。

演出として面白かったのは、ジョナに助言を受ける前日の夜に、主人公の母親がジョナと全く同じことを言っていた点です。今回読んでいて初めて気付きました。主人公の母親は少しずれていて、状況がよくわかっていないおばあちゃんという設定のため、彼女が的を射た発言をすることで本当は常識的な話なんだということを暗示させるとともに、彼女だからこそ、そのような発言をしても誰も重くは受け止めずスルーしてしまいます。

今回の場合、ハービーに当たる機械の活用方法についてジョナがわざわざやってきて指南してくれます。自力で思いついてもいいんでしょうが、常識に囚われるなという印象を与えるにはジョナが正論で常識を論破するという演出のほうが確かに効果的だと思います。

徐々に張られるクライマックスへの伏線

「工場の生産性が改善し、工場は無事救われました。めでたしめでたし」で終わってしまうには、まだ物語は途中過ぎます。物語の少し前から、我々が考えている常識とジョナが主張する常識とがかけ離れているのがわかってきています。

主人公の部下は何度となく、今までの常識で捉えられていた評価尺度の悪化を警告しますが、主人公は「今はそのことは忘れよう」と先送りします。

例えば、ハービーに当たる機械を手伝うために、スクラップ寸前の非常に古い機械を引っ張り出して動かしたりします。従来の常識では、部品一個あたりの生産性を悪化させることになりますが、新しい常識ではそれがボトルネック工程であれば生産量が増えるため、正解になります。

こういった常識を覆す発想は、従来の常識の中にいる勢力とのクライマックスでの対決に向けての伏線として、ことあるごとに部下の不安という形で現れ、主人公はそれでも新しい常識を信じて古い常識を捨て去ることを強いられます。

家庭のほうはどん底から浮かび始める

一方で、サブプロットの家庭のほうも改善の兆しが見え始めます。奥さんは実家に閉じこもってしまい、主人公は自暴自棄になりそうでしたが、やっぱり奥さんしかいないと考え、まるで付き合い始めた頃のようにデートに誘います。

奥さんも徐々に心を開き始めますが、実家からはまだ戻ってこようとはしません。三幕構成で言えばターニングポイントを通過し、サブプロットでのクライマックスに向けて進みつつあります。

 

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