ストーリーとしての競争戦略。経営戦略の物語化

すばらしい経営戦略は物語になっている

私も一応ビジネスマンに分類されるので、ビジネス書の類は比較的読むほうだと思います。物語を考える上では小説や漫画を読んだほうが直接的な勉強になると思いますが、ザ・ゴールのようにビジネス書の中にも物語と関係があるものがあったりします。ストーリーとしての競争戦略もそんなビジネス書の一つです。

ページは多いが読みやすい

この本は若干ページ数が多く、競争戦略という経営学のテーマであるため論文調の難解な本かと思いきや、非常に読みやすかったです。

強いて言えば、筆者が大学教授だからなのか、ビジネス書にしては文章が多少冗長な気がします。とにかく要点をすばやく知りたいという多忙なビジネスマンが読むと、もしかしたらイライラしてしまうかもしれません。

ザ・ゴールに共通するものがある

この本を読んで最初に感じたのは、ザ・ゴール2に出てくる思考プロセスの話に似ているというものでした。ザ・ゴール2もいずれ記事にしたいと思っているので、思考プロセスについてもその時に詳しく触れたいですが、思考プロセスというのを簡単に説明すると、物事の因果関係をつなぎ、根本原因を特定して根本原因を解決する事で一気に問題を解決するというのがポイントでした。

このストーリーとしての競争戦略も、優れた戦略にはストーリー(AだからB、BだからCといった策のつながり)があり、因果でつながった策(打ち手)の連鎖が自然で無理がなく、最終目的につながっているものほど強靭な戦略といえるといった内容です。

中でも、優れた戦略は一見すると非合理的に見える発想がストーリーの中心として重要な打ち手になっており、それをクリティカル・コアと表現していますが、この話は、ザ・ゴールでボトルネックリソース以外は暇でなければならないという話しにも通じるものがあり、非常に興味深いものでした。

競争戦略ストーリーの例-ガリバーインターナショナル

個人的に一番面白かった競争戦略のストーリーはガリバーインターナショナル(以下ガリバー)のものです。ガリバーの戦略は、消費者にいい中古車を売るという従来の中古車販売会社とは全く異なり、中古車販売業者同士のオークションの市場で売ることを前提に、オークション予想価格以下の値段で中古車を買い取り、すばやくオークションに流すというものです。

通常の発想だと、オークションに流すのは売れ残りそうないらない中古車です。いい中古車は消費者に高値で売れ、利益が見込めるからです。

そんな中、いい中古車であってもあえてオークションに流すことで、展示スペースは要らなくなり、在庫の回転期間が大幅に短縮します。従来の販売業者より大幅に短期間で手に入れたキャッシュでさらに仕入は拡大し、急速に成長することが可能になります。

このように、普通に考えると非合理に見える打ち手が中心にあることで、従来の常識に囚われた競合他社は容易に参入が難しくなります。

また、目立つポイントだけを真似しようとしても、全体が因果の鎖できれいにつながっている競争戦略すべてを真似しなければ逆効果になります。

ビジネスの世界でも物語が重要というのは面白いと思いました。

 

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