濃密な12話。魔法少女まどか☆マギカの物語構成【ネタバレ注意】

2011年に大ブレイクしたアニメまどか☆マギカ

ブレイクした時にリアルタイムには見ていなかったのですが、その数年後にふとしたきっかけで見てすごいと思ったアニメです。

このアニメは非常にシリアスな話ですが、絵柄がまさに魔法少女といった感じで子供向けアニメのようなかわいらしさとのギャップが印象的です。子供がおばあちゃんとまどか☆マギカの映画を見に来て、子供向けのアニメと思ったらダークな内容でしょんぼりして帰っていったという話をネットで見たことがありますが、作り話かもしれませんが十分ありうる話だとおもいます。

まどか☆マギカは、物語の構成が秀逸だと思いました。見終わったときに感じたのは、「よくこの物語を30分×12話に収めたな」というものでした。それだけ無駄なく濃密に物語を作っている印象です。

一向に魔法少女にならない主人公まどか

パッと見の印象から、この物語を見る前は、主人公のまどかが毎回魔法少女に変身して戦う、プリキュアのような話だと思ってしまいますが、物語が半分を超えてもまどかは魔法少女になりません。

魔法少女になるには、キュゥべえというマスコットキャラとの契約が必要なのですが、全然契約しません。実はキュゥべえは地球侵略を目論むエイリアンで、キュゥべえと契約して魔法少女になると、いずれは魔女という魔法少女に倒される存在になってしまうという非常に怖い話になっています。

そのネタバレがされるシーンで、キュゥべえが「魔女になる前だから魔法少女だよね」と無表情に語る姿は戦慄を覚えます。

そもそもまどかが全然契約しないのは、魔法少女になる際に犠牲を払う必要があるため、躊躇しているというのもありますが、時空を移動できる魔法少女の暁美ほむらが、まどかが魔法少女になった結果悲劇が訪れることを何度も経験しており、ハッピーエンドを求めて未来を変えようと、まどかが魔法少女になるのを邪魔し続けるという事情があります。

そして、未来を変えるためにまどかを起点にほむらが何度もやり直しを行った結果、まどかに時空エネルギーが集中し、まどかが魔法少女になる事で世界のルールまで変えられるいわば神のような存在になり、まどかの力でキュゥべえもいいやつになって、魔法少女も魔女にならない世界に変わるというのがラストになります。

先入観を利用したダーク・ファンタジー

プリキュアに代表される魔法少女もののセオリーは多くの人の頭にあり、その思い込みを上手く利用し、きちんと伏線を回収し、物語として無駄なく筋の通った話になっていて、しかもそれがたった12話に収まっているというのが、よほど構成が上手にできてないとここまで面白い作品にならないと思いました。

似たような感覚になる作品としては、最終兵器彼女が、絵柄のやわらかさと物語のシリアスさのギャップという点で共通していると思いました。

 

 

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