暗黒女子のストーリー・構成を分析【ネタバレ注意】

不思議な構成の物語「暗黒女子」

暗黒女子という、物語そのものとは別のことで有名になった小説を読んでみました。亡くなったサークルの前会長である白石いつみについて、5人の女子高校生が自作小説の朗読会で小説を通して互いを犯人と主張しあうという設定で、淡々と進むミステリーです。

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ザ・ゴール第八章を分析。制約理論の5ステップ。セントラル・クエスチョンの先へ

ついに最終章。ザ・ゴール第八章は第三幕

ザ・ゴール第八章は、メインプロットのセントラル・クエスチョンである「主人公は工場を救えるか?」とサブプロットのセントラル・クエスチョンである「主人公は幸せな家庭を取り戻せるか?」を解決した後の話しになります。

セントラル・クエスチョンが解決してめでたしめでたしで終わらず、実は本当に解決しないといけない問題は別にあったという展開は物語にはよくあります。

ザ・ゴールは実に30年ぐらい前にアメリカで出版された物語ですが、その頃からこういった展開が普通に存在していたんですね。

惰性により工場は再度危機的状況に

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ザ・ゴール第七章を分析。第二幕の最終局面。工場は救われるが真の解決はまだ先。

物語は最終局面に向かうが未だ真の解決に至らず

ザ・ゴール第七章では、ついにライバルのヒルトンとの対決に向けて準備が整い、従来の常識に囚われた世界と対決し勝利する章になります。

三幕構成でいうセカンドターニングポイントは他の工場では成し得なかった成功を収めた後にもかかわらず、工場の成績を存続の判断を行うライバルのヒルトンに全否定され、工場が再び存続の危機に立たされるかもしれないという部分です。

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ザ・ゴール第六章を分析。DBRという最強の武器。全ては制約リソースの支配下に。

最終決戦に向けて最強の武器を手に入れる

ザ・ゴール第六章は三幕構成で言うと、第二幕の後半のピンチ(ミッドポイントとセカンドターニングポイントをつなぐエピソード)になります。短い章ですが最終決戦でハッピーエンドを向かえるための重要な武器、DBR(ドラム・バッファ・ロープ)に気付く章です。

制約リソースの徹底活用によって工場の生産性は高まり、このまま工場を救えるのかと思いきや、新たな障害が立ちはだかります。工場の全てのリソースがフル稼働している結果、不要な在庫が積みあがり工場が再度混乱し始めます。

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ザ・ゴール第五章を分析。第二幕の幕開け、改善する生産性と夫婦仲

ついに工場の生産性が改善し始める第五章

ザ・ゴール第五章では、当初の目的だった工場の問題が解決に向かい始めます。ハイキングで一番歩くのが遅かったハービーに当たる工場の機械が特定され、その機械を休ませないことが工場全体の生産性を決定するということがわかってきます。

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ザ・ゴール第四章を分析。生産工程をハイキングに例えるファーストターニングポイント

物語のファースト・ターニングポイント

ザ・ゴールの第四章は、週末に息子のボーイスカウトの引率をさせられるところから始まります。一見何の関係もないハイキングですが、この物語の核心である制約理論を概念的に学ぶのにハイキングの例えが非常にわかりやすいため、多少強引な展開ですが主人公は唯一の大人としてハイキングの指揮を執ることになります。

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ザ・ゴール第三章を分析。問題の共有とジョナとの対話、家族の亀裂

ザ・ゴール第三章は問題の更なる分析

ザ・ゴール第三章では、問題を解決するためにジョナと言葉を交わし、解決の糸口をより明確にするステップです。主人公は、ジョナを探すため徹夜で電話をかけて、何とかジョナから情報を引き出します。

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ザ・ゴール第二章を分析。問題解決の鍵となる人物ジョナの登場

最重要人物ジョナの登場

ザ・ゴール第二章では、この物語のセントラル・クエスチョンである工場の立て直しの鍵を握るジョナが登場します。登場するといっても、主人公の回想シーンで、実際に登場するのは第三章です。

ただ、この回想シーンでジョナは主人公に重要な情報を与えていますが、ジョナは多忙で、会話をする時間はほとんどないという設定により、ジョナから得られる情報は非常に限定的です。ジョナがこのタイミングで全ての答えを語ってしまうと物語が成立しませんし、主人公が自分の力で解決することができず、物語として面白くなくなってしまいます。

ジョナの言葉を思い出し自ら考える主人公

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ザ・ゴール第一章を分析。事件の発生から解決の僅かな希望まで

ザ・ゴールを再び読み直す

小説は大体1回読んだらもう一度読むことはあまり無いですが、ザ・ゴールは、もうすでに3、4回は読んでいると思います。何か仕事で行き詰っている時や、抜本的な解決法を見つけたい時など、この本を読むと元気になります。

今回は特に何かに行き詰っているわけではないですが、改めて物語の構成という視点からザ・ゴールの面白さを解読したいと思います。

以前の記事で、目次の1章から8章までのそれぞれの概略は見ていったので、今回は第一章を細かく分析したいと思います。

オープニングは工場の朝

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ビジネス小説ザ・ゴールを分析してみる。

最小の努力で最大の成果の本質を示した小説「ザ・ゴール」

ザ・ゴールをビジネス書と見るのか、小説と見るのかは意見が分かれるところかと思いますが、私は小説の一種と考えており、私の考え方に最も影響を与えた小説になります。

この小説から私が受け取ったメッセージは、「最小の努力で最大の成果を挙げるというのはどういうことなのか」ということです。

この話の詳細は以前記事にしました

章立てから見るザ・ゴールの構成

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