不思議な構成の物語「暗黒女子」
暗黒女子という、物語そのものとは別のことで有名になった小説を読んでみました。亡くなったサークルの前会長である白石いつみについて、5人の女子高校生が自作小説の朗読会で小説を通して互いを犯人と主張しあうという設定で、淡々と進むミステリーです。
【以下ネタバレ注意】 “暗黒女子のストーリー・構成を分析【ネタバレ注意】” の続きを読む

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暗黒女子という、物語そのものとは別のことで有名になった小説を読んでみました。亡くなったサークルの前会長である白石いつみについて、5人の女子高校生が自作小説の朗読会で小説を通して互いを犯人と主張しあうという設定で、淡々と進むミステリーです。
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ザ・ゴール第八章は、メインプロットのセントラル・クエスチョンである「主人公は工場を救えるか?」とサブプロットのセントラル・クエスチョンである「主人公は幸せな家庭を取り戻せるか?」を解決した後の話しになります。
セントラル・クエスチョンが解決してめでたしめでたしで終わらず、実は本当に解決しないといけない問題は別にあったという展開は物語にはよくあります。
ザ・ゴールは実に30年ぐらい前にアメリカで出版された物語ですが、その頃からこういった展開が普通に存在していたんですね。
ザ・ゴール第六章は三幕構成で言うと、第二幕の後半のピンチ(ミッドポイントとセカンドターニングポイントをつなぐエピソード)になります。短い章ですが最終決戦でハッピーエンドを向かえるための重要な武器、DBR(ドラム・バッファ・ロープ)に気付く章です。
制約リソースの徹底活用によって工場の生産性は高まり、このまま工場を救えるのかと思いきや、新たな障害が立ちはだかります。工場の全てのリソースがフル稼働している結果、不要な在庫が積みあがり工場が再度混乱し始めます。
ザ・ゴール第五章では、当初の目的だった工場の問題が解決に向かい始めます。ハイキングで一番歩くのが遅かったハービーに当たる工場の機械が特定され、その機械を休ませないことが工場全体の生産性を決定するということがわかってきます。
ザ・ゴールの第四章は、週末に息子のボーイスカウトの引率をさせられるところから始まります。一見何の関係もないハイキングですが、この物語の核心である制約理論を概念的に学ぶのにハイキングの例えが非常にわかりやすいため、多少強引な展開ですが主人公は唯一の大人としてハイキングの指揮を執ることになります。
物語というのは、基本的に時系列どおりに並んでいるものですが、そのルールをあえて逸脱することにより、他の物語と差別化を図る物語があります。時系列を逆に進むメメントという映画は、普通に時系列順に並べると普通の話なんですが、逆に進むことによって、主人公の10分しか記憶をもてないという状況を読者も追体験することができます。
そういう設定は非常に特徴的で面白いですが、一般的にならないのは、主人公が記憶を10分しか保てないなど、通常とは異なる状況にする必要があるため、なかなか扱いが難しいためだと思います。 “時系列どおりに並べない物語。逆から、ランダムで読者を不思議な感覚にする。” の続きを読む
最近はなかなか小説を読む時間がなく、昔持っていた小説もあらかた処分してしまっているので、家に小説がないと思っていましたが、本棚の奥に比較的最近買って読んだ本があったのを発見して引っ張り出してみました。
半沢直樹が一番有名ですが、数々のドラマ化された小説がある池井戸潤先生の作品です。もともと銀行でお勤めだったというのがよくわかる。銀行の様子が非常にリアルに描写されている作品ばかりだと思います。 “小説の最初の2、3行目第3弾。2冊のエンターテイメント小説の出だし” の続きを読む
ザ・ゴール第三章では、問題を解決するためにジョナと言葉を交わし、解決の糸口をより明確にするステップです。主人公は、ジョナを探すため徹夜で電話をかけて、何とかジョナから情報を引き出します。
ザ・ゴール第二章では、この物語のセントラル・クエスチョンである工場の立て直しの鍵を握るジョナが登場します。登場するといっても、主人公の回想シーンで、実際に登場するのは第三章です。
ただ、この回想シーンでジョナは主人公に重要な情報を与えていますが、ジョナは多忙で、会話をする時間はほとんどないという設定により、ジョナから得られる情報は非常に限定的です。ジョナがこのタイミングで全ての答えを語ってしまうと物語が成立しませんし、主人公が自分の力で解決することができず、物語として面白くなくなってしまいます。